大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)463号 判決

被告人 谷口克己

〔抄 録〕

一、弁護人の控訴趣意第一点ないし第三点について。

およそ強盗強姦罪は、強盗犯人が汎くその強盗の機会において婦女を強姦したときは成立するものであり、その強姦行為は、現実に財物強取の直接的行動の開始される前のものでも、当該犯人により強盗の目的に出ている暴行脅迫の意思を表明する何らか具体的行動の発現された後のものならば、之を強盗の機会における強姦をなすと妨げない。而して原判示第四によれば、要するに被告人は質商小林利三郎方において強盗をなすことを企て脅迫用の肉切庖丁を携えて深夜午前三時頃同人方二階の間に立ち到つたところ、そこに利三郎の妹洋子(当時二一年)が臥床中なるをみて遽かに劣情を催し、右庖丁を突きつける等の脅迫により反抗を抑圧して同女を強姦し、その後予期の如く同女や右利三郎に脅迫暴行を加えて財物を強取したというのである。故に、これは、単純に強姦してから後、急にその場において強盗の犯意を生じて実行した場合等とも異なり、被告人には右小林方に立ち到つたときから財物強取を遂げるまで強盗の意図は一貫してかわりなく、而してその意図実現のための行動中婦女を強姦したものであり、このことは原判決引用の証拠によつても明白である。故に右被告人の行為は強盗がその機会に婦女を強姦したと謂うを相当とし、従つて、之を以て強盗強姦の一罪に認定して当該法条を適用処断した原判決には所論のような事実誤認、理由不備または法令適用上の誤あるものではない。論旨は理由がない。

(久礼田 武田 石井文)

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